さっと読める今日の社会を良くするニュース 第3号(2021/07/29)
【編集長のボヤキ】
オリンピックの「魔力」について色々と考えています。
【本日のピックアップニュース】
■ ローソン、品川区で「こども宅食」スタート SDGsの食品ロス削減に向けた取り組みとして品川区内の425世帯へ(AMP[アンプ]) - Yahoo!ニュース
ローソンは、SDGsの「食品ロス削減・子どもの貧困などの社会的課題解決への寄与」を目的に、物流センターにおいて、店舗への納品期限を迎えてしまった商品(賞味期限は残っている商品)などの余剰食品を、東京都品川区の「しあわせ食卓事業」と「子ども食堂ネットワーク」を通じて、支援を必要としている家庭などに、7月26日より順次届けると発表した。
先日、「オリンピック会場で大量の弁当などの廃棄物が発生している」と報道されたオリンピック組織委員会が批判されていることをきっかけに「フード・ロス」の問題が一気に話題になりました。
今回の大量廃棄は政治的な混乱により、契約の上では納品しなくてはいけないがそれを受けとるボランティアがいない、というちぐはぐさから生まれたもので現場としては廃棄する以外の方法はなかったのだろう、という理解はできます。しかし、今のコロナ禍の中で貧窮し、今日の飯にも困る方が続出する中で大量の「フード・ロス」が発生したことは大きな批判を受けるのも当然でしょう。
では、余った食品や弁当は配るべきだったかと考えると、食中毒やコロナ感染などの衛生上の懸念や、余剰品を配る仕組みが未整備であったことを踏まえると、ハードルが高いでしょう。上記のニュースはローソンの取り組みですが、コンビニの高度な流通ネットワークやノウハウがあってこそ安全に出来る、と判断されたから実行できたものでしょう。そこにはSDGsを考える上でインフラや流通のついての知識も必要ですし、大きなイベントで何か起きた場合は余剰品をなにか別なところで活かせないかの検討を事前に考えておく必要性を感じました。
効率を考えれば食品も「大量に生産して余ったら破棄する」ことが一番良いのでしょうが「効率」だけを考えればよいのか、それとも代替策を探ってちょうどよい落とし所を考えるのか。それがこの先の企業の価値につながっていく流れが生まれているように感じています。
【ビジネス】
■ 「口先だけのSDGsは見抜きます」大学生起業家「エシカル就活」の野望 変わらないと淘汰…危機感あおる(withnews) - Yahoo!ニュース
――具体的にはどういう取り組みでしょうか 地球環境のことを本気で考えている企業に「エシカル」というお墨付きを与える新しいウェブサービスの就活プラットフォームをつくりました。企業の社会活動への取り組みを見ることができたり、「気候変動」「貧困」などカテゴリーごとに取り組んでいる企業を検索できたり、学生が自分に合う企業を見つけやすいように情報発信しています。さらに、オンラインの企業説明会を開いて、企業と学生をつなぐこともやっています。
■ 掲載無料・登録不要「NPO法人/社会課題解決企業(ソーシャルビジネス)」求人サイトをオープン - アプラウソ株式会社のプレスリリース
今年4月に政府は2030年までの二酸化炭素排出量削減目標を2013年度比46%減とする新目標を発表した通り、環境や気候変動に対する意識が変化してきています。同様にSDGsの目標達成に向けて国や行政だけでなく企業もコミットしはじめました。このような流れの中、サステナブルな企業またはSDGsの目標達成に向けて活躍している企業に優秀でエシカルな考えの人材が集まれば、環境も社会もよくなるに違いないと確信し、サステナブルな企業のための求人サイト「未来求人」を立ち上げました。
■ 雇用の多様化は「当たり前」 チョコレート企業が実現するSDGs|ニュースイッチ by 日刊工業新聞社
積極的に社会的弱者の雇用の場をつくる取組みを進めている同法人だが、店舗には特にそのようなメッセージは掲出されていない。かわりにチョコレートへのこだわりや、商品の特徴が店内を賑わせている。ホームページを覗けば企業概要の中で知ることができるが、情報発信のバランスについて夏目代表は「(雇用の取り組みに関して)力んだ発信をするつもりはなく、隠しもしない。ただニュートラルに伝えている」と話す。
■ 【サステイナブル企業のリアル】「培養に成功しましたが最初は約500社に営業しても1つも売れませんでした」ユーグレナ社長・出雲充さん|@DIME アットダイム
そもそも、出雲がミドリムシと出会う原点となったバングラデシュへは、小学生の給食用に、ミドリムシを練り込んだクッキーを毎日1万食、届ける活動を続けたが、コロナ禍で思うように支援を届けることができない。「コロナが落ち着き、工場や学校が日常を取り戻したら、僕らも体勢を立て直して……」ミドリムシの発展とともに、出雲充の発展途上国への思いも募るのである。
【国際】
■【台湾】SDGsで変わる台湾社会[経済] オードリー・タン氏が語る | NNAアジア経済ニュース
——SDGsを重視しなかった場合、台湾ではどんな不利益を被るか。 大きなデメリットの一つは、資金調達が難しくなることだ。台湾では企業のSDGsに関する取り組みに着目した投資が年々増加しており、SDGs関連の債券市場が拡大している。SDGs達成に寄与する債券といえば、以前はグリーンボンド(環境事業に使途を限定した債券)が主流だったが、現在は環境以外の持続可能性に関する事業にも使途を拡大したサステナビリティーボンドなども急速に増えている。企業が社会や環境問題に取り組まない場合、投資を受けられない恐れがある。
■ メッカ大巡礼、男性「後見人」なく女性だけでの参加可能に サウジ 写真21枚 国際ニュース:AFPBB News
イスラム教の聖地メッカ(Mecca)への大巡礼「ハッジ(Hajj)」が先週末から行われている。サウジアラビア巡礼省は、夫や男性親族などの「後見人」の同伴なしで女性がハッジに参加することを正式に許可した。ただし、複数人での参加が条件となる。この決定は、サウジの事実上の最高権力者であるムハンマド・ビン・サルマン皇太子(Crown Prince Mohammed bin Salman)が、同国の厳格なイメージの払拭(ふっしょく)と、石油依存の経済からの脱却を狙った社会変革の一環として行われた。
【テクノロジー】
■ EU、野心的な環境政策を発表 2035年にガソリン車販売禁止など 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News
欧州連合(EU)は14日、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」を2050年までに達成する目標実現に向け、包括的な政策案を発表した。電気自動車や燃料価格をめぐり、欧州議会(European Parliament)や加盟国間で、業界団体や環境団体を巻き込んだ激しい駆け引きが今後数年間にわたり展開されそうだ。
【芸能】
■ 人気テレビドラマに見る「SDGs」ブームの超進化 | テレビ | 東洋経済オンライン | 社会をよくする経済ニュース
「脱炭素化だ」「SDGsだ」と、サステナビリティ(持続可能性)が一気に社会のトレンドになっていますが、エンタメの最前線、テレビドラマでも、サステナビリティの要素が入る作品が増えてきました。コロナ禍でステイホーム中に、テレビドラマにはまった方も多いと思いますが、長年気候とエネルギー政策の分野を専門に研究する筆者もその一人です。テレワーク後にドラマを楽しみにする生活の中で、近頃3つもの人気テレビドラマがSDGsの要素をさりげなく、しかししっかりと取り入れていて目を見張りました。
【スポーツ】
■ 性的映像を放送から排除。オリンピック放送機構、アスリート被害防止の方針を語る | ハフポスト
OBSの最高責任者は7月26日、「私たちが今後放送する映像には、身体部位の詳細やクローズアップといった、私たちが過去に見ていたようなものはなくなる」とAP通信に説明。「私たちにできることは、放送の中で、選手の着衣などを特定の方法で際立たせたり、取り上げたりしないということだ」と語っている。
■ なでしこジャパン、片膝つき人種差別に抗議。Black Lives Matterに連帯するアスリートたち【東京五輪】 | ハフポスト
毎日新聞によると、日本代表の熊谷紗希主将は試合後の記者会見で、「チーム全員で話し、人種差別について考えるきっかけになった。英国のアクションへのリスペクトの意味もあって、やろうと決めた」と話した。
【若者支援】
■ 親や身近な大人に頼れず就労に不安のある若者を支える、伴走支援型プロジェクト「イッショニバイト」を株式会社セールスフォース・ドットコムの支援を受け開始。:時事ドットコム
2021年8月1日よりNPO法人サンカクシャは、15~25歳ごろの若者に4ヶ月間仕事探しや働き続けられるためのサポートを社会人が伴走し支援するプログラム「イッショニバイト」を、株式会社セールスフォース・ドットコムの支援を受け開始いたします。コロナ禍で、アルバイトが減らされた、仕事がなくなった若者からの相談が増加している現状を受け、親や身近な大人に相談できる人がいない若者に対して、働く一歩目を支えるプログラムです。
■ 北の大地で「土いじり」、若者のキャリア拡げる(オルタナ) - Yahoo!ニュース
次世代を担う子どもや若者が優先されない社会になっていることが社会課題と考える。人類という生き物として最も大事なことがないがしろにされていると。自分達より上の世代の短期的・自己中心的な経済的利益が最優先されている現状を総力あげて変えていきたいと思っている。むやみに経済成長を追いかけるのではなく『世代や立場を超えて周りの人達と関わり合い助け合いながら、大地や海や森など地球の恵みを頂きながら、心豊かに生きていける社会、タスキの輪のように循環する社会』にしてゆきたいと。
【地域】
「生理の貧困」を支援 フードバンクじょうえつが約150世帯分を配布 | ニュース | 上越妙高タウン情報
衛生用品の配布を行ったのはNPO法人くびき野NPOサポートセンターが運営するフードバンクじょうえつです。この団体ではコロナ禍を受け、去年12月から生活が苦しいひとり親世帯に市民や企業から寄付された米や野菜、インスタント食品などを無償で配布しています。今回は初めて、経済的理由で生理用品を買うことのできないいわゆる生理の貧困に悩む家庭を支援しようと120世帯分の生理用品を用意しました。フードバンクじょうえつの新保絵梨さんは「女性には必要不可欠なものなので喜んでもらえたらうれしい。今後も定期的に開催できるように準備をしていきたい。」と話していました。
【新製品・アイデア商品】
■ 【人気和食メニューを代替肉で再現!】ネクストミーツの代替肉を使った和食のゴーストレストランが誕生:時事ドットコム
今回さらに代替肉を広めるために、「食で未来をつくる」をミッションとするジャイロホールディングスとタッグを組み、肉じゃがやすき焼きなど日本人が慣れ親しんだ「和食」のメニューを当社の代替肉で開発。ティーケーエスとパートナーズダイニングが強みとする「和食の料理人」の開発のもと、美味しくて健康にも環境にも良い「未来の和食」が出来上がりました。すべてのメニューが和食ベースかつ当社の代替肉が使用されているというのは、これまでにない取り組みです。
■ 油性マーカーで繰り返しメモして消せる、「脱・使い捨て」のサステナブルかつ便利なドキュメント収納アイテム全4種が新登場!『ReTag by wemo』2021年8月より新発売|株式会社コスモテックのプレスリリース
現在、日本で消費されているプラスチック製のクリアファイルは年間で7億枚(自社調べ)。クリアファイルは手に入りやすい一方で、劣化しやすく、すぐに捨てられがちです。そこで、「脱・使い捨て」のサステナブルと利便性を両立したアイテムとして、”記憶に対するストレスを軽減する”ことを哲学としたウェアラブルメモ「wemo」の新シリーズ『ReTag by wemo』より、書類の整理収納のドキュメントファイルやインデックスファイル、整理整頓に便利なインデックスシール、ラベルシールの全4アイテムが登場します。
■ ~1本の水から世界が変わる~日本初の“持ち運びができるサステナブル紙パックナチュラルウォーター”「HAVARY’S(ハバリーズ)」が新宿マルイ 本館にてサンプリングイベントを開催!:時事ドットコム
昨年の夏に、”1本の水から世界が変わる”という想いのもと、SDGsの価値観を中核に据え、日本初のサステナブル紙パックナチュラルウォーターとして展開を開始したハバリーズ。ハバリーズのパッケージはおもに紙を原料にしており、使用する紙包材も、世界の森林保全に貢献するために責任ある調達ができるFSC認証を取得しています。リサイクル可能な紙包材で、九州佐賀県で採水されたミネラル豊富な天然水を包んでいます。
【イベント】
■ ゴミじゃない。未来をつくる材料だ。 ヒトとモノの未来を提案する体験型展示「捨てない。展」開催|伊藤忠商事株式会社のプレスリリース
今回開催する「捨てない。展」は、「ゴミじゃない。未来をつくる材料だ。」を合言葉に、ヒトとモノの未来を提案する体験型展示。会場内には、株式会社モノファクトリー/株式会社ナカダイとのコラボレーションによる「廃材」を使ったインテリアが設置されており、「リサイクル/リユース/アップサイクル」などのSDGsの在り方について、実際に触れながら楽しく学ぶことができます。また、小さなお子様でも楽しめるミニワークショップもご用意しており、参加者にはサステナブルなコーヒーやソフトドリンクを1杯無料でご提供します。
■ 【京都信用金庫✖️ボーダレス・ジャパン】地域課題に取り組む社会起業家支援に関する包括連携協定を締結、並びに京都での特別講座開催のお知らせ|株式会社ボーダレス・ジャパンのプレスリリース
ボーダレス・ジャパンは地域金融機関と連携し「実質無利子・無担保融資」「起業後の経営伴走」を含むサポート体制で、地域課題に取り組む社会起業家の輩出と事業成功を実現する取り組みをスタートします。第一弾となる今回、京都エリアを中心に展開する京都信用金庫と包括連携協定を締結。協調して起業家支援に取り組みます。取り組み開始にあたり、ボーダレスグループがこれまで培ってきた「ソーシャルビジネスの作り方」「社会課題の深堀り方」を具体例を交えて実践的に学ぶ特別講座を9月4日(土)QUESTION(新河原町ビル・京都府)にて開催します。
【調査・研究】
■ SDGsニュース】SDGs「行動の10年」なのに...... 半数以上の企業が「取り組んでいない」: J-CAST 会社ウォッチ
現在力を入れている項目を前年と比べてみると、近年注目が集まっている再生可能エネルギーの利用なども含まれる「エネルギーをみんなにそしてクリーンに」が 6.4ポイント増で最も増加していた。次いで、「つくる責任つかう責任」(6.1ポイント増)や「働きがいも経済成長も」(4.9ポイント増)、「気候変動に具体的な対策を」(4.8ポイント増)などで前年からの増加が目立っている。また、SDGsに積極的な企業の景況感を表す「SDGs景気DI(総合)」をみると、2021年6月のSDGs景気DI(総合)は41.1と、全体の景気DIを上回る水準で推移した。17目標別では、「産業と技術革新の基盤をつくろう」や「人や国の不平等をなくそう」が高かった。
■ 神奈川県内企業、SDGs「積極的」倍増 民間調査: 日本経済新聞
一方で、「意味もしくは重要性を理解できるが取り組んでいない」(42.2%)が最多となり、着手する準備や余裕がない企業もあった。同支店は「何から手を付けていいかわからないというケースもある」としており、取り組む事例や意義などの発信が重要としている。
【本日の雑感(編集後記)】
2021年7月26日は相模原障害者施設殺傷事件が発生してから丸5年となりました。以前、取材で津久井やまゆり園に訪れた事がありましたが、そのときはまだ工事中で立ち入れませんでした。この日は献花を受け付けるということで改めて訪れようと考え、津久井やまゆり園に行ってまいりました。
訪れた津久井やまゆり園は静かでのどかな山間にある施設で、障害がある人が生きやすい環境なのは確かなのですが、その静けさにいろんな葛藤を感じた次第です。
献花台に添えられた花は以前ほどではなく、取材陣もまばらで事件の風化を感じました。しかし、あの事件は多くの障害のある方々の心をえぐり、いまなお「障害者の生きる意味はあるんだろうか」と悩む方々は大勢いらっしゃいます。決して「過去の事件」ではないのです。
また、ちょうど今、コロナの感染が急拡大する中でオリンピックが開催されています。オリンピックに対して喜んでいいのか悲しんでいいの怒ればよいのか「葛藤」や「迷い」を多くの人が抱えているでしょう。その答えは、一人ひとりよって大きく食い違います。しかし、その葛藤の一つ一つを一人ひとりが考えていくことで、少しずつ社会が良くなっていくものだと私は信じたいと思います。
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